どっちがお得?絶対音感vs相対音感

こんにちは、枡田咲子です。
最近はずっと、モードなど少し難しい音楽理論の話ばかりしていたので、今日はちょっと気分を変えて、「音感について」を書いてみようと思います。
音楽をやっていると、よく『絶対音感』とか『相対音感』という言葉を耳にすると思います。
作編曲家や演奏者において、音感を持つことはとても意味を成すと考えます。
今回は、
- 絶対音感と相対音感について
- どっちが得なのか?
以上の2つについて、私の経験した中で感じてきたことを織り交ぜながら書いてみようと思います。
絶対音感と相対音感について
【絶対音感とは】
ある1音を鳴らすとその音が『ド』とか『ミ』とか、その音の高さと音名がわかる能力です。
- メリットは、『耳コピ(聴音)が容易にできる』などが挙げられます。
- デメリットは、『曲のキー(調)が変わると違和感を感じる』『生活音が気になる』などが挙げられます。
【相対音感とは】
ある1音を鳴らすと、その音を基準値として、次に鳴った音がどのくらい高いかや低いか(音程)を判断することができる能力です。
- メリットは、『曲のキー(調)変更が容易にできる』などが挙げられます。
- デメリットは、『何調なのかトニック(主音)の音を探す必要がある』などでしょうか。
体験談
ちなみに私は、絶対音感です。
なぜ絶対音感を持っているかというと『幼少期からピアノに触れていたから』だと思います。
実際、音大(クラシックのピアノ専攻)のほとんどの学生が絶対音感を持っていました。つまり、幼少期からピアノを習っていると絶対音感を獲得しやすいのではないかと思います。
ピアノは楽譜を読む時に、この音符は『ド』と言いながら鍵盤で『ドを弾く』といった感じで進んでいきます。そのことで、この音は『ド』『レ』のように音を耳で覚えているからだと考えられます。
幼少期に楽譜と音を紐づけるトレーニングで得た絶対音感、私の場合の絶対音感状況は、
- スバリ、耳コピは得意で、ピアノの音ならほぼ間違いなく取ることができます!しかし、サックスやギターなど違う楽器になると、1音ズレたり間違うことがあります。
- ピアノの音でも、単音や3和音なら簡単に聴き取れていました。しかし、テンション入りのコードは音楽専門学校時代にトレーニングして聴き取れるようになりました。
- 生活音を苦痛に感じたことはありません。(机を叩くとかの生活音、ドレミ...に聴こえることはありません)
よく『絶対音感いいな〜』みたいに言われることもありますが、『相対音感の方が便利では?』と思うことも多々あります。
相対音感に憧れる理由として、これも私の場合ですと、
- ボーカル曲などキー変更してピアノ伴奏や演奏はとても大変です。頭で分かっても楽譜にコードを書いても、原曲と違う音が鳴る違和感でいっぱいになります。
- シンセサイザー(キーボード)のキーチェンジ機能(白鍵のCメジャーを D♭メジャーにピッチ変更する便利な機能)も、違和感が勝ちこの機能を使って演奏することができません。
- トランスポーズド・スコア(移調楽譜)を読むのが苦手です。これもトレーニングで読めるようにはなりましたが、コンサート・スコア(実音楽譜)を読む時のように頭の中でパッと音が鳴らず、どうしても脳内での変換作業が必要になってしまいます。
このようなことから『相対音感いいなぁ』と思うことがあります。しかし結局のところ、『無いものねだり』『隣の芝は青く見える』もので、どちらかあれば良いのです!
どっちが得なのか?
私の結論としては、どちらでも音感があればお得!
大人から身につける場合は『相対音感』一択です!
まず、演奏するにしても、作編曲するにしても音感はあるにこしたことはありません。
教育現場で教えてきた個人的な見解ですが、相対音感はトレーニング次第で誰でも鍛えることが期待できます。
一方、絶対音感は大人になってから鍛えることはとても困難だと言われており、相対音感に比べると相当ハードルが高いです。脳科学的にもそのような検証が行われているようです。
なので、もしお子様に絶対音感を!という場合は、できるだけ早いうちに楽器を習うなどがお勧めです。楽器によっては移調楽器もあるので、ピアノとかバイオリンがお勧めです。
しかし必ずしも絶対音感が良いとも言い切れないのが本音で、相対音感でもしっかり身につけば何の問題もありません。
絶対音感は鳴らした音の音名がわかることが最大のメリットですが、最終的には音名がわかることが重要でなく、あくまでも音感を持っていることが重要だと感じています。
- 絶対音感の場合は、例えばドとソという音名は分かりますが、その2音間の音程(完全5度*)を感じていることが重要です。
- 相対音感の場合は、ドとソと音名はわからないけど2音間の音程(完全5度*)が分かっているという状態です。(音名を知りたい場合は、ピアノなどを使って音を探し当てます。)
※完全5度など音程を表す用語については、音楽理論を学ぶとそのように表現できます。音感では、感覚的に完全5度という音程を把握しているものとして考えてください。
体験談
バークリー音楽大学のイヤー・トレーニングの授業では、視唱に相対音感(移動ド)が用いられています。
私はこの授業をテストアウト(単位獲得)したので受講していませんが、実際このクラスを受けていたら相当ハードだったと思います。しかし、テスト時の担当教授は『絶対音感でも問題ないよ』とのことでした。私も長年教育に携わり、どちらが良いとかではなく、音感を身につけることが重要だと感じています。
これも体験談ですが、移動ド(相対音感)で視唱を行う授業を受け持ったことがあり、はじめは本当に歌えなくて大変でした。しかし、トレーニング次第で少しずつできるようにはなってきたので、ちゃんとトレーニングすれば私でも相対音感が身に付くのかもしれません。だからといって絶対音感が消えるいうことではなさそうでした。
【視唱:固定ドと移動ドについて】
- 固定ド(絶対音感)の視唱:キー(調)に関係なく、楽譜に書いてある音を歌う。(Gメジャー・キーで楽譜にソが書かれてあればソと歌う)
- 移動ド(相対音感)の視唱:キー(調)に準じた音を歌う。(Gメジャー・キーで楽譜にソが書かれてあればドと歌う)
まとめ
今回は音感について、体験談など私のエピソードを交えて書いてみました。
音楽に関わる上で、絶対音感でも相対音感でも、音感はあるに越したことはないものです。
絶対音感は幼少期(6歳くらいまでと言われています)のトレーニングで獲得できると言われています。
絶対音感といっても、トレーニング次第では、私のようにピアノ以外の楽器になると正確ではなくなる場合や、たまに耳にする生活音にまで影響が出る場合など、人それぞれのように思われます。また年齢とともにピッチのズレが生じることがあるようですが、どちらにせよ、一度獲得すると取り消すことは難しそうです。
そこで「どちらがお得か?」ですが、大人から始める場合は『相対音感』が断然お得(一択!)です。
そして幼少期から始める場合は、選択肢があることになります。教育内容によってどちらか、または両方を身に付けることができるでしょう。両方なんて、まさにバイリンガル!?これこそ羨ましい限りですね〜
音感は、頭で理解したからといってすぐに身に付くものではなく、感覚的な要素が強いため日々のトレーニングが必須となります。地道ではありますが、毎日コツコツと行うことで、だんだんと身に付いていくものです。
また私の経験上、実は『音感がよい』と『聴音(耳コピ)が得意』は少し違ったりする、と感じることがあります。 次回はそのあたりについて書いてみたいと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

