アンティシペーションとディレイドアタックとは?

こんにちは。枡田咲子です。
前回の『シンコペーションとアンティシペーションの違いとは?』に続き、今回は『アンティシペーションとディレイドアタック』について。
ジャズやポップスのシーンで対になる用語で、特にジャズではメロディやフレーズ(またはコード)のアレンジの説明でよく使われる用語です。
どちらもリズムをずらすテクニックのことで、方法が異なります。
前にずらすのがアンティシペイション、後ろにずらすのがディレイド・アタック。ジャズやポップスでは、このリズムの“ズレ”をうまく使うことで、グルーヴや独特のノリを生み出します。
メロディのアレンジ例と一緒にみていきましょう。
アンティシペーションについて
アンティシペーション(英:anticipation)は、「先取音」または「先取り」を意味し、本来の拍よりも少し早く音を出します。
ジャズでよくあるオリジナル(リードシート)からアレンジした譜例でみてみましょう。

アンティシペーション(先取り)では、以下のような効果を得ることができます。
- 推進力
- 期待感
- 音楽が前に進む感覚
以下のように音符の長さを短くアレンジを加えた場合でも、アンティシペーションと考えられます。

アンティシペーションを多用すると、リズミックなアレンジができます。

ディレイド・アタックについて
ディレイド・アタック(英:delayed attack)は、アンティシペーションの逆にあたるテクニックで、本来の拍より少し遅らせて音を出します。
ジャズでよくあるオリジナル(リードシート)からアレンジした譜例でみてみましょう。

ディレイド・アタック(遅らせる)では、以下のような効果を得ることができます。
- 揺らぎ
- 後ろに引っ張る感じ
- 何がくるのか期待感
ただし使いすぎると、メロディが途切れたり重たく聞こえることもあるので、アクセント的に取り入れるのがおすすめです。
実際はアンティシペーションやディレイド・アタックを使ってアレンジします。

まとめると、アンティシペーションは“前にずらす”、ディレイド・アタックは“後ろにずらす”。
この違いを意識すると、フレーズのニュアンスが広がります。
まとめ
アンティシペイション:拍を「前にずらす」=前のめり、推進力。
ディレイド・アタック:拍を「後ろにずらす」=ゆったり、期待感。
どちらもリズムの表情を作る重要なテクニックです。
ジャズのメロディ・アレンジや、作曲や演奏で意識して取り入れると音楽に表情が生まれ、オリジナリティを演出するのに役立ちます。
ちょっとしたリズムのずらし方で、音楽の印象は大きく変わります。ぜひ実際に弾いて、聴いて、体感してみてください。
最後まで読んでくださりありがとうございます。