知ってる?メトリック・モジュレーション

こんにちは。枡田咲子です。
メトリック・モジュレーションとは!?
ジャズやポップスのシーンで耳にする言葉で、速さの転調などと言われています。
簡単に言えば『拍の基準を変えることでリズム感やフィールが変わる』ことです。
単純にテンポを上げたり下げたりするのではなく、ある速さ(テンポ)を基準にして「どの音価を新しい拍の単位とするか」を変換することで、自然に速度感が変わります。
拍子の基本は以下の記事をご参考ください。
拍子とテンポの関係
楽譜では、拍子が変わるときに「この音符=この音符」というように、基準となる音価の長さを示す場合があります。 例えば、♩=♩などのように、音符を使って表示します。
♩=♩ は、もとの拍子と新しい拍子で同じ音の長さを表しています。
つまり「4分音符の長さは変わらず、拍子だけが変わる」という意味です。
上記例では、4/4拍子で♩=80で、3/4拍子でも♩=80 となります。速度はそのままで、拍子だけが変わったことになります。
ジャズやポップスでは「拍子が変わる(メーター・チェンジ)」といった言い方をすることが多いです。
メトリック・モジュレーションについて
メトリック・モジュレーションでは「異なる音価」を結びつけることでリズム感が変化します。
【例1】下記では、4/4拍子での1拍(4分音符)と、2/2拍子での1拍(2分音符)の長さが、同じ速度であることを表示しています。
- 4/4拍子では4分音符=120
- 2/2拍子では2分音符=120(4分音符=240)
つまり、4/4拍子(♩=120)から2/2拍子(♩=240)と、テンポ感が速くなったと感じられます。
【例2】4/4拍子での1拍(4分音符)と、6/8拍子での1拍(付点4分音符)の長さが、速度であることを表示しています。
- 4/4拍子では4分音符=80(8分音符=160)
- 6/8拍子では付点4分音符=80(8分音符=240)
つまり、4/4拍子(♪=160)から6/8拍子(♪=240)と、これもテンポ感が速くなったと感じられます。
4/4拍子から3/4拍子へのメトリックモジュレーション

- 4/4拍子:4分音符=80
- 3/4拍子:付点4分音符=80(4分音符=120)
•これもメトリック・モジュレーションの一例ですが、ビッグバンドなどでは、アンサンブルが非常に難しくなるため、高度なアレンジとして扱われます。
Chick Corea ”Litha” (6/8拍子から、4/4拍子: 0:28 辺りでメトリック・モジュレーションします。)
楽譜だとこんな感じです!ビッグ・バンド・スコアですが、ご参考ください。
Sakiko Masuda ”Forever”

まとめ
- 拍子の変化:拍子が変わっても1拍の長さはそのまま
→ テンポ感は変わらない - メトリック・モジュレーション:1拍の長さ(基準)を別の単位に置き換える
→ 結果としてテンポ感やフィールが変わる
どちらも見た目には「拍子が変わる」現象ですが、メトリック・モジュレーションでは、“速さの転調” としてリズムの感じ方そのものが変化します。作曲や編曲のアイディアとしてとても効果的で、演奏に取り入れるとリズム感が大きな変化をもたらします。
- メトリック(英:metric)=計量・尺度
- モジュレーション(英:modulation)=転調・変化
という語源からも、「基準を変えることで新しい流れを生み出す」というイメージがつかめると思います。
作曲や編曲のアイディアとしてとても効果的で、演奏に取り入れるとリズム感が大きな変化をもたらします。
メトリック・モジュレーションについては、いろいろな考え方やジャンルによって異なることがあります。特に、テクニカル・ドラムでは即興的な表現として広く知られていますが、ジャズ作編曲の観点で譜面に書くことは少ないと考えられます。
ここでは主にフィールの変化を中心に、アレンジで取り入れやすいものをご紹介しました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました✨