ジャズ用語の使い方:ソロ・アドリブ・インプロ・即興演奏

ジャズ用語の使い方:ソロ・アドリブ・インプロ・即興演奏

こんにちは。枡田咲子です。

ジャズをしていると、必ず耳にするのが、

  • ソロ
  • アドリブ
  • インプロビゼーション(略:インプロ)
  • 即興演奏

といった言葉。

どれでも同じ意味で使わますが、その使い方とは?

と、疑問を持ったことはありませんか?

先日このような話題になり、私自身も「そういえば長い間なんとなく使っていたなぁ」と気づきました。

そこで今回は改めて、それぞれの語源や意味、ジャズの現場や楽譜での使われ方を整理してみたいと思います。

語源と言葉の意味

4つの言葉に共通しているのは、どれも「自由に演奏すること」を指している、という点です。

ただし、ジャズの世界で言う「自由」とは完全に好き勝手することではなく、コード進行に合わせて即興的に演奏するという意味合いになります。

一方で、現代音楽や前衛音楽など、コードがまったく指定されていない場面では、本当に制約のない「自由な即興演奏」というニュアンスで使われることもあります。

ソロ

語源:イタリア語(solo)

意味:一人で。(音楽では、『一人で演奏する』『一人で演奏するパートのこと』です。)

【ジャズでの使い方】

① 独奏(一人で演奏する)

一人で演奏すること。例えばピアノソロだと、ピアノだけで演奏することです。

② 一人で演奏するパート

アンサンブルの中で、ある楽器が一人で自由に演奏することも”ソロ”と呼ばれます。

→ 特にビッグバンドなど大きい編成のアンサンブルでは、メロディや特徴的なフレーズを一人が任されて演奏するときにも”ソロ”と言います。

アドリブ

語源:ラテン語(ad libitum → ad lib)

意味:自由に。

【ジャズでの使い方】

自由に演奏すること。

→ 演劇(舞台)やお笑いなど音楽以外でも使われる言葉です。「その場で考えてすること」の意味で使われます。

インプロゼーション

語源:英語(improvisation)

意味:即興。即興演奏、即興表現。

【ジャズでの使い方】

「アドリブ」と同じ意味で使われますが、演劇やダンスなど芸術全般に広く使われる言葉です。世界的にも最も汎用性が高い。

→ 『Jazz Improvisation 〜』みないな感じで教則本でもみかける言葉かなと思います。

ちなみに、improvisation は名詞、動詞だと improvise(インプロバイズ) となります。

即興演奏

語源:日本語

意味:自由に演奏すること。楽譜に頼らず、その場で創作したり主題を発展させたりしなが演奏すること。

【ジャズでは】

インプロビゼーション(英:improvisation)の日本語訳です。意味としては、「アドリブ」と同じ意味です。また、ジャズを詳しくない人に説明するとき、最も伝わりやすい言葉です。

音楽用語辞典より

学生の頃から使っている辞典によると以下のような意味を持ちます。

Solo・・・A composition or section for one performer. 
(ソロ…作曲またはセクション(節)を一人で演奏する

Ad libitum・・・Indicates freedom to interpret within the basic musical context.  At the performer's will.
(アドリブ…基本的な音楽の枠組みに沿って自由に演奏する。演奏者の裁量による。)

Improvisation・・・Creating music spontaneously.  Although done by musicians all periods.  It is most closely associated with jazz and rock performances.
(インプロビゼーション…即興で音楽を作ること。あらゆる時代の音楽家が行ってきたが、特にジャズやロック演奏と密接に結びつく。)

Alfred's Pocket Dictionary of Music - Terms Composers Theory

楽譜での使われ方

同じ意味を持つ用語がいくつかあるので、「楽譜ではどの言葉を使えばいいの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。

結論から言うと、どの言葉を使っても意味は通じるので大きな問題はありません。

ただし私の経験上、楽譜に書かれているのは「Solo」が最も多い印象です。(海外のスコアも含めてそう感じます。)

そのため、国際的にも「Solo」と書くのが一番伝わりやすいと思います。

他にも、「Ad lib」と書かれた楽譜も時々見かけます。どの表記を選ぶかは、作曲者や編集者の好みの違いかもしれません。

以下の参考例は、私がビッグバンドスコアで書いてるものです。スコアで文字が小さいので、赤字は補足です。

【参考例1】ピアノソロ(アドリブの場合)

ピアノパートには(Solo)と書いてます。

  • 小節にはスラッシュとコードネームが書かれているため、ここは『アドリブ=即興演奏』であることが分かります。

  • 一番上に (Piano Solo) と書くことで、他のプレイヤーに「ここはピアノがメインです」と伝える役割を持ちます。

【参考例2】ピアノソロ(書き譜の場合)

スコアを見るとコ音符が書かれています。

  • この場合は自由に弾くのではなく、書かれたフレーズをそのまま演奏することになります。(ジャズの場合、コードネームが表記されている場合、完全にその通りではなくてもよいこがもあります。)

  • 一番上には (Piano Rubato)* と記されており、プレイヤー全員に「ここはピアノがルバートで演奏します」ということが共有できます。

*Rubato(ルバート)・・・テンポを自由に動かして演奏すること

イントロなので、この書き方で意図は十分伝わると思います。もちろん、他の記載方法も可能です。

このように、楽譜にはいろいろな書き方があります。

ぜひいろいろなスコアを見比べてみてください。

まとめ

ソロ、アドリブ、インプロゼーション、即興演奏、どの言葉も基本的な意味は『自由に演奏すること』です。

  • 楽譜上では「Solo」と書かれることが多い

  • 教則本や理論書では「インプロビゼーション」がよく使われる

  • 会話の中 では「ソロ」「アドリブ」「インプロ(略)」「即興(略)」など、状況や雰囲気によって自然に使い分けられている

こうして整理してみると、普段は何気なく使っている言葉にも、実はそれぞれの背景やニュアンスがあることに気づきます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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