第15回国際ジャズオーケストラフェスティバル ~ステラジャム~【レポート】

こんにちは。枡田咲子です。
今年のステラジャムのレポートです!
2025年9月5日~6日に『第15回国際ジャズ オーケストラ フェスティバル ~ステラジャム~』が河口湖ステラシアターで開催され、昨年に引き続き審査員として参加させていただきました。
大学生バンドから小中高生バンドまで、総勢35バンドが出場し、2日間にわたって熱気あふれる素晴らしい演奏が繰り広げられました!
このイベントのテーマは "Get Better"、みんなで上達しよう!というもので、教育を重視した大会です。
審査の特徴は、演奏中に良かった点やアドバイスを録音し、リアルタイムでコメントを行う点です。また、このリアルタイムコメントは全世界に公開されるとてもオープンな国際大会となっています。
審査員は、トランペット、トロンボーン、サックス、ベース、ドラム、ピアノの6名で構成され、審査の際には各審査員の得点の最高点と最低点がカットされ、公平な審査が行われる仕組みになっています。審査員の嗜好が反映されるのは避けられないことですが、それを考慮した公正な評価がなされるよう工夫されています。
今年は、どのバンドも昨年と比べて大きくレベルアップしているのが非常に印象的でした。
大会の総合プロデューサーである黒坂洋介氏が述べた第15回ステラジャムの講評は、非常に共感できる内容ですので、ぜひご一読いただければと思います。
課題曲
ステラジャムのために用意された曲を各バンドが演奏します。
課題曲はバンドごとの個性が発揮できる曲とも言えますが、プロが演奏したリアルなデモ音源がないため、楽譜からどれだけ曲を読み取って仕上げるかが大きなポイントとなります。
今年の課題曲は、Francisco Torres氏作曲の『Take Me Out Swingin'』でした。
この曲は、ミディアム・テンポのスウィングから "Cha Cha Cha"へとラテンのリズムに切り替わり、またスウィングに戻り、またラテンのリズムへ、最後はスウィングで終わるというユニークな楽曲でした!
リズムが行ったり来たりするのは、テンポが崩れないないように「テンポをキープする」ことが目標となります。安定したテンポを保っても、フィールの変化をどのように表現するかも重要なポイントになってきます。
「ゲット・ベター」がこの大会の第一の目的であり、点数を競うことが目的ではありませんが、他のバンドの演奏を聴いて「もっと上手くなりたい」「こんな演奏方法もあるんだ」とお互いに影響し合ってもらえると嬉しいです。
自由曲
自由曲には特に決まりがなく、各バンドが自由に選曲して演奏します。
今年の自由曲は、非常にバリエーション豊かで、各バンドの個性が際立っていたのが印象的でした。トラディショナル・ジャズからコンテンポラリー・ジャズ、ラテン、ロックやポップスのアレンジまで、多様なジャンルの楽曲が演奏され、バンドごとのカラーが十分に表現されていました。
特に、難易度の高いアレンジに挑戦しているバンドも多く見受けられ、どのバンドも確実にレベルアップしていることが伺えました。また、各バンドの練習と努力の成果が感じられる、非常に充実したパフォーマンスが続きとても感銘を受けました。このような質の高い演奏を聴くことができ、インスピレーションを受けた素晴らしい2日間でした。
結果とまとめ
ステラジャムでは、団体賞と個人賞があります
団体賞
結果発表はこちらをご覧ください!
団体賞には以下のような賞が設けられています。
- ステラジャム・チャンピオン(総合優勝)
- ゲットベター・チャンピオン(課題曲優勝)
- ユニークセレクション・チャンピオン(自由曲優勝)
- ステラジャム ノミニー7(ベスト7)
- ベストSR賞
今年は団体賞に「ベストSR(show runner)賞」が新設されました。
ステラジャムはだたのコンテストではなく、 Get Better(音楽教育)の一貫にあります。「ベストSR(show runner)」では、各バンドの司会者(司会進行役)が持ち時間全体をひとつのショーとしてどう作り上げるかが、審査対象となります。
昨年までは個人賞「ベストMC賞」に位置付けられていましたが、今年からは「ベストSR賞」となり、更に高度なステージングを目指すということになります。
個人賞
結果発表はこちらをご覧ください!
個人賞には以下のような様々な賞があります。
- Most Impressive (Trumpet, Trombone, Woodwind, Bass, Keyboard, Drummer, Miscellaneous Player)賞
- ベストソロイスト賞
- ベストコンダクター賞
- ベストセクション賞
- CJC(カリフォルニアジャズ大学)賞
まとめ
今年もステラシアターでの無事にステラジャムが開催されたことを嬉しく思います。
ステラシアターは、生音が非常に美しく響き、生演奏が一層映える素敵なホールです。コンテストの観点では、バンドのみなさんにとって、いつもと違う環境での演奏は慣れないことがあったかもしれませんが、貴重な経験になったことだと思います。
そして何より、バンドの皆さんが「Get Better」しているのを強く実感した第15回ステラジャムでした。上達し、より良い音楽を目指す姿勢は、私自身にも通じるものであり、この大会を通じて多くのことを学ばせていただいています。
まだ至らないこともあると思いますが、ジャズ音楽教育に携われて光栄です。
最後まで読んでくださりありがとうございました。