ドミナント7thを使ったリハモ【No.1】

こんにちは、枡田咲子です。
今回の記事からは、ドミナント7th コードを有効に使ったリハーモナイゼーション をテーマにお届けします。
ドミナント7thは、コード進行の中でも 最も強い進行感(解決)を生み出す 重要なコードで、ジャズやポップス、クラシックでも幅広く使われています。
その「解決の力」を理解し活用することで、メロディはそのままに、コードだけで雰囲気を大きく変える ことが可能になります。
今回はその第一歩として、ダイアトニック・コード V7 を使って、
- ドミナント・レゾリューション を活かしたリハモ
- 偽終止(ディセプティブ・レゾルーション) を使ったリハモ
の2つのアプローチを解説していきます。

2-300x169.jpeg)
ドミナント・レゾリューションを使ったリハモ
まずは、リハーモナイゼーションの基礎となる 「ドミナント・レゾリューション(解決)」 について確認しておきましょう。
ドミナント・レゾリューション とは、ドミナント7th(V7)が トニック(I)へ向かって解決することで生まれる、強い安定感・到達感のある進行のことです。
【例:Cメジャー】
G7 (V7) → Cmaj7 (Imaj7)
この 「V7 → I」 の動きは、あらゆるジャンルの音楽で使われる、最も基本的で、力強い進行です。
一方、次のコード進行では V7 → I(ドミナント・レゾリューション) がありません。

強い解決感を加えたい場合、C (I) を ターゲット・コード として、以下のようにリハモすることができます。(ドミナント・アプローチ)

このようにドミナント・レゾリューションを活かすことで、曲のサウンドに 方向性やドラマ性 を加えることができます。


偽終止を使ったリハモ
ここからは、そのコード進行を さらに変化させるテクニック として、「偽終止(ディセプティブ・レゾルーション/Deceptive Resolution)」 を使ったリハモを見ていきましょう。
偽終止 とは、V7 が I に解決せず、別のコードへ進行することを指します。
つまり、ドミナント7thが終止進行 のことで、曲がまだ続きそうな「期待感」や「次へ進むエネルギー」を生み出します。

今回は、Cmaj7(Imaj7)に進める代わりに、ダイアトニックのファンクション置き換え を使って、Am7(VIm7)へ進行させてみました。
同じトニック・ファンクション内の置き換えなので、自然な流れを保ちつつ、終止感を弱めることができます。
【Tip】今回のリハモは、
- まずドミナント・レゾリューションを入れてリハモ
- そのあと、ダイアトニックのファンクションを置き換えてリハモ
という “二段階リハモ” として紹介しました。
このように、一度作ったリハモをさらに別の発想でリハモし直すこともできます。
アイデア次第でサウンドが大きく変わるので、ぜひいろいろ試してみてください!

まとめ
ドミナント7th(V7)は、コード進行の中でも特に強い方向性と進行感を生み出す重要なコードです。
今回は、この V7 を使った2つの基本的なリハモの考え方をご紹介しました。
- ドミナント・レゾリューションを使う
V7 → I で生まれる強い解決感を活かすと、サウンドに明確な着地点が生まれます。 - 偽終止(Deceptive Cadence)を使う
V7 が I に解決しないことで、「まだ続く」ニュアンスや期待感を演出できます。
これらのテクニックは、曲の雰囲気に合わせて “解決させるか/させないか” をコントロールでき、アレンジの幅を大きく広げてくれます。
まずは短いフレーズで試して、響きの違いを感じてみてください。
次回は、『セカンダリー・ドミナントでアプローチするリハモ』をご紹介します!ぜひお楽しみに!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


