ダイアトニック・コードでアプローチするリハモテクニック【No.2】
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こんにちは、枡田咲子です。
前回の記事では、ダイアトニック・コードを順次進行させてターゲット・コードへアプローチする方法をご紹介しました。
今回はその続きとして、順次進行の中にダイアトニック・コードの転回形を取り入れる方法を紹介します。
これまで同様、どんなジャンルにも応用しやすいテクニックですが、アボイド・ノートの知識があると、より自由度の高いリハーモナイズが可能になります。
それでは、ダイアトニック・アプローチに転回形を用いた置き換え方法をみていきましょう。
ダイアトニック・アプローチ
基本的な流れは前回と同様です。
まずターゲット・コードを決めて、そこへ向かってダイアトニック・コードのみで順次進行 させます。
今回はこの順次進行の中に、ダイアトニック・コードの転回形を混ぜていきます。
- 転回形とは、コードの第3音・第5音・第7音を最低音にした形のことです。
今回使用する転回形としては、
- メジャー・トライアド
- マイナー・トライアド
が特におすすめです。
理由として、7thコードやディミニッシュ、オーグメント系コードは、転回しても“転回形らしい明確な響き”になりにくい場合があるためです。
そのため、順次進行に自然に組み込みたい場合は、メジャー・トライアドかマイナー・トライアドの転回形が扱いやすく、使い勝手も良いでしょう。
【注意が必要な転回形の例】

① Cmaj7/E:トップノート同士が 短2度 になり、不協の強い響きになります。
② Dm7/F:転回すると F6 と同じ構成になり、Dm7の転回形としての響きが薄れます。
③ Bm7(♭5)/D:転回すると Dm6 と同じ構成になり、Bm7(♭5)の転回形としての響きが薄れます。
④ Caug/E:転回すると Eaugと同じ構成となり、Caugの転回形として聴こえにくくなります。


実例:転回形を混ぜた順次進行
前回の参考例と比較してみましょう。
前回は基本形のみで順次進行しましたが、今回は転回形を混ぜて、ターゲット・コードへアプローチしてみます。
(参考音源は、はじめが転回形を混ぜた進行で、次が前回の基本形のみの例です。)
【例1:上行形】

【例2:下行形】

前回は、Em7 で少し不協の響きが生じていましたが、メロディと合わないときに、転回形に置き換えることで解決できる場合があります。
メロディとの相性も大きく変わるので、順次進行の途中で基本形と転回形をバランスよく使うと、より自然な流れになります。
【Tip】
今回の例として、メジャー・トライアドの転回形のみになっていますが、マイナー・トライアドの転回形もおすすめです。
ベースラインは順次進行することでスムーズに聴こえますが、すべて基本形とはまったく違う色のサウンドが作れるため、いろいろな組み合わせを試してみてください。
今回の参考例として使用した曲は、私のオリジナル曲 「Wish」 です。
コード進行の工夫やリハーモナイズの発想が詰まっているので、ぜひ音源も聴いてみてください。
まとめ
ダイアトニック・アプローチに転回形を取り入れることで、同じ順次進行でもまったく違うサウンドを作ることができます。
転回形を使うポイントは、
- 順次進行の響きに変化を加えたいとき
- メロディとの不協和を回避したいとき
です。
まずは短いフレーズで、「基本形→転回形」「転回形→基本形」など、組み合わせを変えながら試してみると、自分の好みの響きがつかみやすくなると思います。
転回形の使い方が自然に身につくと、リハモの自由度が一気に広がり、コード進行の微妙なニュアンス調整ができるようになります。
次回は、コード進行で大活躍する「ドミナント7th」を使ったアプローチ方法をご紹介します。V7ならではの緊張感や解決感をどう活かすか、一緒に見ていきましょう!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

