ダイアトニック・コードでアプローチするリハモ【No.1】

こんにちは、枡田咲子です。
前回の記事では「ダイアトニック・コードで置き換える」方法を紹介しました。
今回はその続きとして、ダイアトニック・コードで順次進行させて、ターゲット・コードに向かってアプローチするリハーモナイゼーション・テクニックを紹介します。
これまで同様、どんなジャンルでも応用しやすいテクニックですが、アボイド・ノートについて知っておくと、より迷わず置き換えができます。
それでは、ダイアトニック・アプローチを使った置き換え方法をみていきましょう。
ターゲット・コードとは
どんなコード進行にも、必ず「向かう先(着地ポイント)」となるコードがあります。
この着地点を ターゲット・コード と呼びます。
そして、ターゲットに向かっていくために使うコードをアプローチ・コードと呼びます。
最もシンプルなアプローチは「ケーデンス(終止)」です。
【例:IV-I のケーデンス】

このようにターゲットを設定して、アプローチしていく方法はいくつかあります。
今回はその中でも使いやすい、『ダイアトニック・コードで順次進行しながらターゲットへ向かう』リハーモナイゼーションのテクニックを紹介します。
ダイアトニック・アプローチ(順次進行)
それでは、ターゲット・コードへ向かっていくリハモの方法を見ていきましょう。
順次進行とは、ベースラインが「半音」または「全音」で、上行・下行していく動きのことです。3つ以上のコードを連続で繋げることで、順次進行特有のスムーズな流れが生まれます。
今回のやり方はとてもシンプルで、
- まずターゲット・コードを決める
- そこへ向かってダイアトニック・コードのみで順次進行させる
これだけです。
【例1:上行形】

【例2:下行形】

捕捉:下行形では、Em7でアボイド・ノート(C) が含まれているため一瞬ですが不協の響きです。アレンジで不協に聴こえないようにもできますが、うまくいかない場合もあるので注意が必要です。解決法については、次回のブログで紹介します。
【Tip】今回は、ターゲット・コードに向かう順次進行の中で「1小節に3つのコードを入れる」形でリハモしましたが、ここは固定ではありません。
2小節かけて進行していったり、コードの数やタイミングを変えたりすることで、曲の雰囲気に合うアプローチができます。曲ごとに、ターゲットに向かうスピードや密度を調整しながらリハモしてみましょう。
【注意点】リハモ全般にも言えることですが、置き換えたコードとメロディの相性は必ずチェックしましょう。(特に拍の頭にアボイド・ノートがある場合は要注意です。)
今回の参考例として使用したメロディは、私のオリジナル曲『Wish』です。(オリジナルは、Fメジャー・キー)
コード進行の工夫や、リハーモナイゼーションの発想のヒントが詰まっているので、ぜひ音源も聴いてみてください。
まとめ
今回は、ターゲット・コードを設定し、そこに向かってダイアトニック・コードを順次進行させるリハーモナイゼーションの方法を紹介しました。
「どこへ着地するか」を明確にすることで、リハモの方向性が決まる
ベースを半音/全音で連続させる順次進行は、とても自然な流れになる
コードの数やタイミングは固定ではなく、曲の世界観に合わせて調整できる
ダイアトニック・アプローチは、様々なジャンルや進行に応用できる、汎用性の高いテクニックです。
まずは1つのターゲット・コードに向かって短いフレーズで試してみると、サウンドの違いがつかみやすくなると思います。またメロディの数が少ないところや、セクションの変わり目などメロディが休みのところでも使いやすいです。
次回は、今回のダイアトニック・アプローチに「転回形」を加えた、より立体的な進行をつくるテクニックについて紹介します!
最後まで読んでいただきありがとうございました。


